「ドッグフードって本当にたくさん種類があって、一体どれを選んだらいいのかわからない…」という飼い主さんは多いのではないでしょうか?

あのサイトではこう書いてある、こっちにサイトではこう書いてある…
と、調べれば調べるほど沼にハマってしまいますよね…。中には怪しげな、信じていいのかわからないものもあったり、本音なのかわからないものがあったり…。
しかし、良いと言われるドッグフードが愛犬に合うかは別問題です。実際に、偏った意見や考えの誤情報を発信しているサイトもありますし…。
ここでは、どこよりもわかりやすく、どこよりも丁寧に、飼い主さんに寄り添って、
- ドッグフードの種類(形状)
- 各フードのメリットとデメリット
- 安全なドッグフードの選び方
などについて、詳しくご紹介していきます。
愛犬の健康・元気を守るために、飼い主さんに知っておいてほしい「ドッグフードの知識と選び方」を、一緒に確認していきましょう!
ドッグフードにはどんな種類があるの?
「ドッグフード」とは、薬以外の”犬用として加工されたもの”のことを指します。主食として食べる餌(ごはん)のことだけを指すのではありません。
とても広域な意味を含む言葉で、厳密には、
と、3タイプあります。
それぞれ与える目的が異なるドッグフードというわけですね。
ご自宅で与えているフードのパッケージやおやつのパッケージには、きっと上記の表記がされているはずです。
というのも、この表記は
において、ペットの飼料に関する法律や義務が、フードメーカー・製造者に課せられているからなんです。

ひと昔前までは、ドッグフードに明確なルールはありませんでしたよね。
さらに、ドッグフードを水分含有量でタイプを仕切ることもできます。
の3種類の形状・水分含有量の異なるタイプのものがあり、用途やメリットなども違ってくるのです。
まとめると、以下のように分類できるイメージになります。
ドッグフード | 大区分 | 小区分 |
1.総合栄養食 | ①ドライ、②セミモイスト、③ウェット | |
2.間食 | ①ドライ、②セミモイスト、③ウェット | |
3.その他の目的食 |
(これらにも①ドライ、②セミモイスト、③ウェットの区分があります) |
では、さっそくそれぞれの詳細を確認していきましょう!
まず、総合栄養食、間食、その他の目的食についてです。
1. ドッグフードの「総合栄養食」ってどういう意味?定義は?
総合栄養食は「これと水さえあれば、犬に必要な栄養素はまかなえている」というドッグフードのことを言います。普段、みなさんが愛犬に主食として与えているごはん・餌がまさにこれに該当します。(※不調や病気がある子の場合を除く)
ちなみに、総合栄養食を名乗るためには、先ほどご紹介した「ペットフード公正取引協議会」「ペットフード安全法」が定める栄養素検査をクリアしていなければなりません。
「この商品は、ペットフード公正取引協議会の定める分析試験の結果、総合栄養食の基準を満たすことが証明されています。」または「この商品は、ペットフード公正取引協議会の定める給与試験の結果、総合栄養食であることが証明されています。」
ペットフード公正取引協議会では、総合栄養食を証明する基準として、世界的に認められた小動物の栄養基準となっているAAFCO(全米飼料検査官協会)の分析試験による栄養基準、または給与試験プロトコールを採用しています。
上記のとおり、日本のドッグフードの安全規定は、AAFCO(全米飼料検査官協会)がベースになっています。AAFCOとは、アメリカのペットフードの安全性や栄養を考えて、基準を決めている団体のこと。特に、
- 商品ラベルの表示に関する基準(原材料の表記のルール)
- ペットフードの栄養基準(ペットに必要な栄養素量)
を規定していると思ってください。
日本はペットフードに関するルール・規定が諸外国に比べると遅れていて、ペットフード安全法すら2009年に施行されるようになったにもかかわらず、AAFCOは1990年には、すでに現在の「栄養基準」に該当する内容を発表していました。

FEDIAFというヨーロッパの団体もあります
ちなみに、ドッグフードを調べているとFEDIAFという言葉を目にすることもあると思います。これはAAFCOの基本をもとにしてヨーロッパで発足した、欧州ペットフード工業連合会のこと。ドッグフードの栄養素とフードの製造(製造工場など)におけるガイドラインを制定しています。
そのため、ヨーロッパ産のドッグフードの場合は、FEDIAFを採用しているケースが多いですね!
簡単にいうと、FEDIAFはAAFCOのヨーロッパ版という感じですが、2つの大きな違いは
- AAFCOは、原材料などを表記するラベル表記のルール
- FEDIAFは衛生管理などを含めた工場などの製造ルール
を制定しているということ。
ちなみに、AAFCOとFEDIAFの栄養素基準には大した差はありませんが、フードの説明文などにAAFCO、FEDIAFどちらの基準もクリアしているというような表記があると、なおよしと認識しておいてもいいですね。
ただし、日本はAAFCOを基準にする前提になっているため、FEDIAF基準で合格していても、AAFCOの基準には満たされていないフードの場合は、「総合栄養食」とは表記できないルールになっています。
また、そもそも総合栄養食である以上、水とフードだけで栄養素がまかなえるという前提です。そのため、「水とフードだけで大丈夫!」ということを売り文句にしているフードは、当たり前なことを言っているだけなので、「すごい!」と思う必要はないと判断できますね。
2. 「間食」ってどういう意味?定義は?
間食とは言葉のとおり、犬用のおやつ・スナックのことを指します。当然のことながら、こればかり食べ続けても、犬に必要な栄養素はまかない切れない食べ物です。
間食は、1日に必要なエネルギー(総カロリー)の20%以下に抑えるようにすることが理想とされています。そして、間食のカロリー分だけ、主食を減らしてあげるようにしてあげましょう。
おやつばかりを食べていて、
- お腹がいっぱいになって主食であるごはんを食べられなくなってしまう
- 主食のごはんはごはん、おやつはおやつして与えたことで肥満犬に
- 必要な栄養素がまかないきれず不調が出る(特に加齢とともに)
ということもあるので、いくら可愛くても間食の与え過ぎには注意してあげましょう。

良い子にするからおやつください~♪
できれば、与える間食の大体のカロリーと、給餌するフードのカロリーを把握して、愛犬の1日の摂取総カロリーに意識をしてあげるようにして、しつけ、コミュニケーション、ご褒美など、メリハリをつけて上手に与えるようににしてください。
与え過ぎた時には運動量を増やすのもありですしね♪
ただし、間食の分、主食を減らす場合には、本来摂取する想定だった栄養素が少し足りなくなってしまう状態になります。足りない栄養素はサプリメントや補助食などで補うようすると良いですね。(補助食などについては次にご紹介します。)
3.その他の目的食ってどういう意味?定義は?
その他の目的食に該当するものは、総合栄養食でも間食でもない食べ物のこと。つまり、
- 療法食
- 栄養補助食、サプリメント
- 副食、おかず、トッピング用ふりかけ
などのことを指します。
療法食はあくまで病気・不調を治す(または悪化を防止する)フード、栄養補助食・サプリメントは特定の栄養素を強化・サポートするためのアイテムです。栄養補助食・サプリメントは、それさえ与えていれば大丈夫というものではありません。
では、それぞれのアイテムの詳細について具体的にご紹介します。(※副食・おかず・トッピングふりかけなどは、ほとんどが嗜好性アップ・補助食と同等な意味合いの目的食なので、詳細の説明は割愛します)
①「療法食」は特定の病状に対する食事療法
療養食は病気や不調に配慮して、原材料の配合を調整してあるフードです。あくまで食事であって薬ではありません。「食事療法用のフード」ということですので、本来は獣医師の診断ありきで与えるフードに該当します。そのため、健康でなにも問題のない子には与えないようにしましょう。
具体的に、療法食にはどんなフードがあるかというと、
尿路結石向け | マグネシウムやカルシウム、ビタミンC、ビタミンD、たんぱく質を制限 |
腎臓疾患向け | たんぱく質を取り過ぎないよう制限、リン、ナトリウムも制限 |
心臓疾患向け | 塩分・ナトリウム・リンの制限、タウリン・L‐カルニチンの補充 |
肝臓疾患向け | たんぱく質・ビタミンB群、食物繊維を調整 |
関節サポート | 高たんぱく低脂質、コンドロイチン・グルコサミンの配合、ビタミンの配合 |
皮膚サポート | オメガ3配合、消化しやすい主原料の採用、アレルゲン排除 |
などがあります。(もちろん他にもありますが)
- 愛犬のこれまでの生活
- 持ち合わせた体質
- 老化によって出てきた不調
- 事故・アクシデントで起きた不調
などに対応できる、症状に合わせたフードです。
悪くなってしまっている部分によって、「この栄養素は控えた方が良い」「この栄養素は多くあった方が良い」というのは異なります。そのため、栄養素のバランスを調整してあるのですね!

療法食を与える場合は、必ず獣医師に相談してください!
最近では、療法食がインターネットショッピングで販売されていたり、店舗で販売されていたりするケースもありますが、これは独自判断で気楽に購入できるという話ではないので注意してください。
【獣医師監修】療法食をネットで買うことの落とし穴/たかつきユア動物病院
すでに獣医師の指導を受けている場合であれば、動物病院以外の療法食メーカー公式代理店や、公式オンラインストアで購入しても問題ありませんが、療法食は日本獣医師会でも、
元来、療法食とは獣医師が家庭動物の診療行為の一環として使用することを
想定し、栄養成分の量や比率が調整された特別な栄養特性または特別な製造方
法により製造されたペットフードである。従って、特定の疾病または健康状態
の犬猫に対し、獣医師の診断に基づく治療の中で、食事療法に利用することを
目的とし、獣医師の指導のもとで給与することを意図したものであり、その特
性は以下のとおりである。
①利用分野: 家庭動物診療
②製品特性: 栄養成分の量や比率が調整された特別な栄養特性、特別な製造方法等
③対象動物: 特定の疾病または健康状態の犬猫
④必要要件: 獣医師による定期的な診療と指導
⑤利用目的: 食事療法(食事による栄養管理)
⑥給与方法: 獣医師の指導のもとで給与
という認識をされているフードです。
インターネットの普及・ネット通販の普及で誰でも手にしやすくなっているものの、獣医師の指導なしに給餌したことによる誤使用が原因で、愛犬の健康被害報告も多数出てきているのも事実。
繰り返しになりますが、健康な子には独自判断では与えこと。
たとえ犬の栄養や病気の知識があったにせよ、必ず獣医師に相談・指導を受けた上で与えるという点には注意してくださいね。
②「栄養補助食」「サプリメント」は特定の成分を補うもの
栄養補助食・サプリメントとは、人間で言うサプリメントと同じく、特定の栄養素を補填するためのものです。
療法食とは異なり、
- 「未病」の時点で先手で与える
- 手作りフードで不足する栄養素を補填する
- シニア犬や食が細い子のトッピングとして与える
などの使い方があります。
たとえば、

病気ではないけど体調を崩しがちで…

スポーツドッグだから関節ケアがしたい

プラスアルファの栄養素を加えたい
など、愛犬の体質・生活スタイルによっても欲しい栄養素は違ってくるのは当然です。
本来、総合栄養食でAAFCOが定めている栄養素さえあれば、愛犬の健康維持には問題ないとはされているものの、AAFCOの数値もあくまで目安・基準に過ぎません。
愛犬の状態に合わせたプラスアルファの栄養補助として上手に使っていけるといいですね。
ただし、特定の栄養素が過剰な量になってしまうことで現れる不具合もあります。そのため、不安がある人は療法食と同様に、獣医師に相談してから与えるようにするとよいでしょう。
ちなみに、手作りフードの場合は、どう頑張っても補いきれない栄養素(ビタミン・ミネラルなど)が出てくるので、サプリメントは必須だと思っておいてください。

手作りフード=良いというわけではないのですね
手作りフードは、食材の栄養価からトータルバランス、犬の栄養に関する知識、それなりの手間をかける時間と費用(財源)が必要で、そう簡単にできることではありませんし、継続してやっていくにはかなりリスキーでもあります。
というのも、市販フードは長期的な試験・研究・実勢があって初めて商品化されているものだからです。
一般家庭でそう簡単に栄養価管理ができないことも、知っておく必要があります。インターネットでも手作りフードのレシピなどが公開されていますが、継続的に食べさせる前提ではないものが大半です。

市販フードは販売にあたって栄養価も合格しているということなんです
せっかく愛情を込めて作った手作りフードでも、栄養価が足りていなければ、飼い主さんの自己満足に過ぎません。手作りフードしか食べてくれない…なんて子も中にはいますが、手作りフードで生活するのは、あくまで一時しのぎだと思ってください。
食べない子に関しては、手作りフードやサプリメントに頼るのもひとつですが、市販のフードで食べるための工夫をすることが優先ですね!
ドライフードの定義とメリット・デメリットとは?
総合栄養素の中でも一番スタンダードなフードといえは、ドライフードですよね。ドッグフードと聞くと、おそらく一番にドライフード(カリカリフード)をイメージする人が多いでしょうし♪
まず、大前提としてドライフードの定義は、フードの水分含有量が3~11%程度のもの(多くても12%程度まで)のことを指します。
そして、ドライフードを作る製法として代表的なものは2つ。
さらに、コールドプレス製法、ベイクド製法、フリーズドライ製法、エアドライ製法といった製法もあります。メーカー独自の製法などもあるので、全部は書き切れませんが…。
今回は代表的な2つ、①高温調理製法と②低温調理製法の製造方法の詳細や、メリットやデメリットについて学んでみましょう!
①エクストルーダーを使用した「高温調理製法」
市販のドライフードの大半が、高温調理製法(高温製法・高温高圧製法)で作られたものです。
言葉のとおり、高温で原材料を加熱し、一気に圧をかけ、混ぜ合わせて成形する作り方で、成形後、乾燥させて完成します。
人間のシリアルやスナック菓子の製造にも使用される、「エクストルーダー」というフードを作るマシーンで、130度から170度ほどの高温で原材料を調理してするものが多いのですが、中には200度を超える高圧高温で調理してしいるフードもあるんですよ。
しかし、こういった高温調理製法にはメリットもデメリットもあります。
メリット | デメリット |
短い時間でフードを大量生産できる | 原材料の栄養素を壊してしまう |
大量生産できることでコストを抑えられる | 壊れた栄養素を補うために添加物を使用する |
水分が飛ぶので長期保存しやすい | 調理中に香りが飛びやすい |
メリットとしては、生産性という意味もありますが、高温調理製法をすることで量産できるからこそ、ユーザー(飼い主さん)も他の製法のフードよりも安く購入することができることなどがあります。
反面、一番のデメリットは、高温で調理することにより、原材料の栄養素を壊してしまうことです。熱に弱い栄養素もあるので、どれだけ良い原材料を使用していたとしても、高温で加工することにより栄養が半減してしまいます。また、香りも飛んでしまう難点も…。

せっかく栄養素が高いものを使用してるのに…
そこで、調理工程で失われてしまった栄養や香りを、添加物を配合することにより補うようにしてあるんですね。
実際のあるドッグフードの原材料を確認してみると、赤い四角で囲んでいるところに表記されているものが、添加物で補強している栄養素とい判断できます。
ここでいう添加物とは、
- 化学合成添加物(人が人工的に作り出したもの)
- 天然由来の添加物(自然界の実在するものから成分を抽出したもの)
の双方の意味があります。

無添加って定義はなに??
大半のフードが不足する栄養素を補うために、添加物を使用しているのですが、ペットフードの場合、無添加を名乗れるのは化学合成添加物不使用の場合です。(=天然添加物であればOKということ)添加物という言葉だけでダメと判断しないようにしてくださいね。
今回ご紹介した原材料一覧には、化学合成添加物は使用されていませんが、実際には化学合成添加物の使用や香りづけ(追って詳しくご紹介します)を使用しているものありますので、見極めも必要です。
②栄養素を壊さないゆっくり調理「低温調理製法」
厳密に「何度までの温度であれば低温調理」というルールはありませんが、高温製法が100度を超えるのに対して、45度から80度程度の低温で、ゆっくりじっくり時間をかけて調理する方法を低温調理製法・コールドプレス(低温低圧)製法といいます。
もちろん、低温調理製法・コールドプレス製法の場合であってもメリットとデメリットはあり、以下のような内容が代表的なものです。
メリット | デメリット |
原材料の栄養素をいかせる | 時間がかかるので量産できない |
フードの香りが飛びにくい・嗜好性アップ | 量産できないので値段が高くなる |
原材料の油が酸化しにくい | 水分が残りやすく高温製法より賞味期限が短い |
水分が残りやすいとはお伝えしていますが、ドライフードの範囲内ではあるので、触って水分を感じるようなことはありません。見た目・感触ともに高温製法のフードと違いは感じないレベルです。

ドライフードの大半が水分10%以下と表記してあるよ!
ただし、ドライフードに該当するのに、水分が10%以上のものもありますので、大半のドッグフードの賞味期限が未開封で1年のものが多い中で、低温調理製法のフードの場合は賞味期限が6か月などという場合もあります。分かりやすい内容があったので引用しますと、
ドライフードの定義 製品水分10%程度以下のフード。加熱発泡処理された固形状のものがほとんどです。水分含有量が13%以上では、カビが生えたりするので12%以下に保つ必要があり、安全性に配慮して多くは水分含有量10%以下となっています。
となっていて、同じ「ドライフード」でも水分量の違いから、保存期間や保存方法が異なるケースもあるので注意してください。また、大量生産向きの製造方法ではないため、高温製法のフードよりも少し値段も高くなることもあります。
しかし、低温調理製法をすることにより、使用する食材の栄養素を壊すことなく、香りも残りやすいこともあり、食いつき(嗜好性)が良くなることも期待できそうですね!
犬にとっても、食材そのものの栄養素の方が、消化しやすいメリットもありますよ。
ドライフードのメリットとデメリット
一番使用者も多いであろうドライフードには、メリットもあればデメリットもあります。
先ほど、少し製法ごとのメリット・デメリットについてはご紹介しましたが、ここではドッグフード(総合栄養食)全体として見た、ドライフードのメリット・デメリットについて考えてみたいと思います。
比較しやすいように、表にまとめてみると…
メリット | デメリット |
|
|
などがあります。ドライフードの場合は、
- 歯が弱い子や噛む力が弱い子
- フードの粒のサイズ選びに失敗した
などであったとしても、ふやかして食べれば問題ありません。

ふやかして与える場合は、歯磨きもしっかりしてね♪
栄養価や嗜好性という意味では、ウェットフードやセミモイスト(セミウェット)よりも低くなってしまいますが、AAFCOの基準さえクリアしていれば問題ないわけです。
長期保存できることや、選ぶ範囲が広いなどという面を加味しても、使いやすいフードいうことがわかりますね♪
ただし、長期保存向きとはいえど、香りが飛びやすかったり、湿気ってしまったり、空気に何度も触れることで酸化したり…と、フードそのものが劣化してしまう可能性もあります。開封後の保存方法には注意するようにしてください。開封したら1ヶ月以内に食べきるようにしましょう。
ドライフードはどんな子におすすめ?
ドライフードはどんな子でも食べられるフードではありますが、前提としては、
- 粒を噛む力がある子
- 消化が順調におこなえている子
など、健康な子に最適なフードです。しっかり咀嚼して食べることは、犬にとっても食べることを楽しむメリットが生まれます。
しかし、健康は健康でも噛む力が弱くなっている子、もともと顎が小さくて噛むのが苦手な子、歯が抜けてしまっている子などには、無理やりドライのまま与えるのではなく、ふやかして与えるなどの工夫をして給餌するようにしましょう。
また、消化が悪くなっている時には、ふやかしたり、ウェットフードを与えたり・混ぜたりすることで、胃腸に負担をかけにくくなり、不調が軽減することもあります。愛犬の便の状態もしっかり確認するようにしておくといいですね。

ドライフードは状況に合わせて与え方に工夫ができるんだね!
なお、粒のサイズに関しては小型犬=小粒とは一概には言えません。もちろん、小型犬に大粒過ぎるのもよくありませんが…。
- 小粒過ぎて噛まずに飲み込んでしまう子
- 早食いしてしまう子
- 大きい粒の方がしっかり噛んで食べる子
- 大きすぎて食べられない…と食べてくれない
など個体差はあるので、愛犬の様子を見ながら、愛犬に合う粒のサイズを与えるようにしてくださいね。愛犬が食べやすくて、消化もしやすい状態になるよう、与える飼い主さんもチェックしてあげるとよいでしょう。
必要なら、フードクラッシャーを使用するのもいいですね♪
セミモイスト(半生フード)の定義とメリット・デメリットとは?
セミモイスト(セミウェット)として扱われるフードの定義は、フードの水分含有量が25%~35%程度のものとされています。ドライでもなく、ウェットフードほどべちゃっとした感じもなく、しっとりしたイメージです。
ドライフードとウェットフードの中間にあたるフードで、半生フードとも表現されます。ソフトドライフードもセミモイストの枠に該当するフードです。
ちなみに、セミモイストとソフトドライの違いは、
ソフトドライ 製品水分25~35%程度のフードで、加熱発泡処理されています。しっとりさを保つために湿潤調整剤を使用します。 セミモイスト 製品水分25~35%のフードで、押し出し機などで製造され、発泡していないものです。しっとりさを保つために湿潤調整剤を使用します。
加熱発泡しているかしていないかということ。熱を加えて、空気を入れることでやわらかめになっているのがソフトドライフードです。
セミモイスト(セミウェット)などの半生フードは、一番選択肢が少ないフードで、ドライフードやウェットフードほど種類は多くありません。
それにはこれからご紹介する、半生フードならではのメリットとデメリットが関係しています。
セミモイスト(セミウェット)のメリットとデメリット
セミモイストフードのメリットとデメリットを、わかりやすいように一覧にしてまとめてみます。すると…メリットよりデメリットの方が多いのが見えてきました。
メリット | デメリット |
|
|
その水分含有量から、とにかく劣化しやすい・カビが生えやすいというのが一番の難点です。カビを生えにくくする、劣化しにくくするために、防腐剤・湿潤調整剤などの化学合成添加物の使用が目立ちます。

傷む心配をしながら与えるのもな…
ちなみに、セミモイストフードで使用されがちな避けたい添加物は以下のとおりです。
食べやすさ、匂い、カロリーコントロール、水分含有量などの意味ではメリットなのですが、ドライフードを食べられる子なのであれば、好んで与えなくても良いフードとも言われることもあり、
- ドライフードに水分をふくませたら、食べやすくもなり、匂いも立ちやすくなります(嗜好性がアップします)し、水分を取らせることもできる
- ドライフードに水分をふくませなくても、鰹節や茹で野菜などのトッピングなどで食いつきを上げることはできる
ため、ドライフードで対応可能なのです。
しかもカロリーコントロール用のドライフードもありますし…。セミモイストのメリットを取るか、防腐剤の危険や傷むかもというプレッシャーを感じながらもセミモイストフードを与えるか…という感じになってしまう側面も…。
もちろん、合成添加物を使用していないセミモイストフードもありますが、その分、開封後2日で食べきってくれなどという文言も記載があります…。防腐剤など使っていないのですから、そりゃ賞味期限も短くなるわけです…。そして高額になりがちなわけで…。

小分け・食べきりパックになっていないと困る…
なお、開封後は、
- しっかり密閉して必ず冷蔵庫で保管する ※水分が飛ばないように注意
- なるべく早めに食べ切るようにする
というこの2点だけは気にかけるようにしてください。冷蔵庫で保管していても、水分が飛んでしまうとカチカチになって食べづらくなってしまいますし…。
それと、低カロリーとはいえど、1日に必要なカロリーをある程度取らせるためには、給餌量を増やさないといけません。実際に「6kgの成犬」に与える給餌量をセミモイストとドライフードで比較すると…
セミモイストフードA | 一般のドライフードB |
155g | 100g |
と…1.5倍量給餌しなければならず、ドライフードに比べるとコスパがいいとは言えません。
セミモイストで安価なものがあれば、おそらく、
などになってしまうことでしょう。安全性という意味ではいくら安価でも避けたいフードといえます。
そのため、セミモイストを与える場合には、主食として与えるというよりも、メリットを最大に活かした使い方をするようにするのがベター。
セミモイストフード(セミウェット)はどんな子におすすめ?
セミモイストは、一時的に食欲が落ちている子や、胃腸が弱っている子、噛む力が弱くなっている子(ドライフードが苦手な子)におすすめなフードです。
メインのフードとして与えるというよりも、使い切りの小分けパックで、無添加のものを、不調時に上手に使うことをおすすめします。
- トッピングとして与える
- カロリーコントロール用として与える
- 水分を取りたがらない時に与える
など、セミモイストのメリットを活かして使うようにする方がよさそうです。どうしても、これしか食べない…という状況でもない限り、主食としてセミモイストにこだわる必要はありません。
ウェットフードの定義とメリット・デメリットとは?
ウェットフードとして扱われるフードの定義は、フードの水分含有量が下は60%~上は87%程以上ものとされています。平均を取るためでしょうが、ペットフード公正取引協議会では75%程度という表記になてっていました。
水分75%程度のフード。品質保持の為に殺菌工程を経て、密封容器に充填します。
ウェットフードは水分含有量の多さと、嗜好性の高さが特徴です。それゆえにやはりセミモイストと同様、開封後は傷みやすい傾向もあります。
また、販売される形状は、
- 缶詰タイプ・金属缶タイプ
- トレータイプ(アルミニウム製のトレー缶)
- レトルトパウチタイプ(レトルトパック)
- フィルムタイプ(魚肉ソーセージのような形状)
などがあります。缶タイプやトレータイプのものは、常温保存も可能で賞味期限も長いのですが、レトルトパウチタイプやフィルムタイプのものは、冷凍タイプもあれば、冷蔵タイプもあるため、保管方法には注意してください。
ウェットフードのメリットとデメリット
ウェットフードの特徴をもとに、メリットとデメリットを考えてみましょう。わかりやすいように一覧にしてみますと
メリット | デメリット |
|
|
という内容が挙げられます。基本的にはセミモイストと類似していますが、一番の特徴でもある水分量は、
- 病み上がりで水分補給が必要な子
- あまり水分を取ろうとしない子
などには良いことです。食欲がないのか、バテているのか、水分をあまり取ろうとしないこともありますしね!

美味しく食べながら水分補給できたらいいね♪
反面、その水分量ゆえに、どういった形状でパッキングしていようとも、中でフードがぐちゃぐちゃなってしまわないように、あるいは、フードを開封した時の飛び散り、食べやすさなどを考慮して凝固剤を配合するケースも多いため、注意してください。
増粘多糖類、増粘安定剤という表記をされることもあり、フードにとろみをつける役割があるのですが、便まで硬くしてしまうこともあります。愛犬の体質にもよるので個体差はありますが、初めてウェットフードを与える場合には、便の状態もしっかり確認してあげるようにしましょう!
凝固剤などに関しては、原則、ウェットフードに配合される程度の量であれば、犬の健康には問題ないとされてはいるものの、一部で、

発がん性があるのでは?
と、結論があいまいなまま、研究が引き続きおこなわれている物質もあります。
凝固剤には天然由来の添加物が多いのですが、天然由来の添加物=安心・安全というわけではありません!実際にこれまで日本でも、過去にはOKだった天然由来添加物が、研究と共に危険性が発覚して使用禁止になったものもたくさんあります。
気になる人は増粘多糖類、増粘安定剤(カラギナン、キサンタンガム、グァーガム)まどの表記があるものは避け、犬が食べても大丈夫な寒天やゼラチンなどで代用しているものを選ぶようにしてください。
もちろん、添加物を含まないウェットフードもあるので、購入の際には、犬に与えたくない添加物が入っていないか確認する習慣はつけておくとなおよしですね◎

なにかあってからじゃ手遅れですもんね…
少し多めに添加物について解説したものの、無添加ウェットフードであれば、メリットもたくさんあります。
- 消化がしやすいので、胃腸の調子が悪い時には与えやすい
- シニア犬や噛む力が弱い子でも食べやすい
- 食欲がない時や食が細い子、食いつきが悪い子には、嗜好性の高さ(香りが強め)があるので食いつきがよくなる
- トッピングとして使用できる
- ドライフードよりカロリーが控えめなのでカロリーコントロールに最適
など、困った時には上手に使ってみてくださいね。

硬くないから、消化しやすいんだ♪
ただし!ドライフードやセミモイストフードよりも、歯や歯茎に挟まったり、粘着してしまったりしやすいフードです。しっかりオーラルケアをするようにしておかないと、歯や歯茎なのどトラブル・口臭の原因にもなりかねません。
また、開封後の賞味期限は、セミモイスト同様、水分が多いため短めになっています。大半のウェットフードが使い切りやすいパッケージになっていたり、ジップ付きのレトルトパウチで保管しやすい工夫がされていたりしますが、使い切らなかった時の管理はしっかりするように心がけましょう。
ウェットフードはどんな子におすすめ?
ウェットフードがおすすめな子は、噛む力が弱い子、ドライフードが苦手な子、食が細い子、胃腸の調子が良くない子、カロリーコントロールが必要な子などが挙げられます。
また、嗜好性の高さと、使い切りやすいパッケージのものも多いことから、
- 愛犬の食への興味をそそるためにたまに与える
- ご褒美として与える
などもできます。愛犬も時折り出てくるウェットフードに大喜びするかもしれませんね♪

とっても美味しそうな匂いがしてワクワクする!!
カロリーの低さゆえに与える量(グラム数)も増えるので、コスパ的には飼い主さんのお財布的にも痛手になることもありますし、ドライフードを食べる子なのであれば、たまのご褒美感覚くらいでもちょうどよさそうです。
ただし、しっかり噛める力があるのに、柔らかいものばかり食べていると、歯茎が弱ってしまうこともありますし、あまりの嗜好性ゆえに、他のフードを食べなくなってしまう可能性もゼロではありません。
セミモイストと同様、噛む力があってドライフードでも食べる子なのであれば、あえてウェットフードを毎日食べる主食として与えなくても良いでしょう。
安全・安心なドッグフードを選ぶ5つのポイント
これまでにも少し、添加物についてご紹介しましたが、安心・安全やドッグフードを選ぶために、抑えておきたいポイントがあります。
それは、
- 主原料(たんぱく質源)の確認
- 添加物の内容
- 抗原物質(アレルギーの原因になる原材料)の有無
- カロリーや栄養価の確認
- オイルコーティングの有無
の5点です。ここでご紹介する5つは基本ではあるものの、「うちの子は大丈夫だけど…」「気にしないでいいかな」なんて内容も出てくるかもしれません。

体質はみんな違うし、飼い方も家庭ごとに違うもんね
ですので、絶対ということではありません。
ただ、愛犬に長期的に与えるごはんだと思うと、やはり気にした方がいい内容もあります。
フード選びの基礎知識として参考にしてみてくださいね。
①主原料が良質なたんぱく質(肉・魚)であること
一番気にして欲しいのは、主原料(原材料の表記で一番初めに書かれている食材)と、たんぱく質源の確認です。
ペットフードの原材料の表記は、「ペットフードの表示に関する公正競争規約・施行規則」において、使用料の多い順に表記するように定められています。ですので、この原材料の一番初めに来ている食材をチェックしてみてください。
そして、主原料が肉や魚であるものを選ぶようにしましょう。肉や魚の方が犬が消化吸収しやすい良質なたんぱく質を含んでいるからです。
でも…よく「良質なたんぱく質」って言葉は目にすることはあっても、

良質なたんぱく質ってなに?
という人もいると思います。今更人に聞くのも…と、なんとなくでしかわからない人もいるのではないでしょうか?
という私も最初は、正しく理解していませんでした!
相当な栄養学の知識がなければこんなマニアックな話、知らなくても当然なので安心してくださいね♪
そもそも「良質なたんぱく質」ってなに?
良質なたんぱく質とは、体で生成することができない必須アミノ酸がバランスよく入っているたんぱく質のことを言います。そして必須アミノ酸のバランスがいい食材とは、「アミノ酸スコア」でアミノ酸価が100(満点)に近い数値な食材のこと。
補足ですが、「アミノ酸スコア」とはFAO(国際連合食糧農業機関)やWHO(世界保健機関)が協議の上、制定した計算式によってはじき出されたアミノ酸価を数値化したものです。数値が高いほどバランスがいいということを意味します。
※この計算式は超専門的な話なのでここでは説明はカットします♪

ちょっとややこしいけど、頑張ってついてきて!
「アミノ酸スコア」の15ページ目以降、魚・肉が出てきますが、見事に100続きなのがわかりますよね!ですので、主原料が肉や魚になっているものを選んでほしいのです♪
にもかかわらず、価格が安めのフードは、肉・魚以外のものを主原料にしていることがあります。実際に割安なドッグフードの原材料を確認してみると…
といった具合に、主原料が肉や魚以外になっていました。

わ!これはお肉よりも穀物の方が多いってこと?!
ご紹介したのはトウモロコシや小麦ですが、中にはポテト、米、玄米などといったケースもあるので、しっかり確認してみましょう。小麦粉やトウモロコシなどをアミノ酸スコアで確認してみても、数値はあまりよくありません。
しかし、アミノ酸スコア度外視で小麦粉の栄養価を見てみると、犬に欠かせない三大栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物)が豊富といわれています。つまり、たんぱく質含有量は多い食材なんだけど、必須アミノ酸のバランスはよくないということなんですよね。
つまり、主原料が肉・魚ではない穀類などの場合は、データとしての「数値的なたんぱく質量」は満たせても、犬に必要な必須アミノ酸が少ないフードということになってしまうのです。

でも、なぜそんな栄養価の低いものを使用するの?
フードメーカーが、なぜそういった穀類主原料のドッグフードを作っているのか…ですが、その理由はずばり、コスト削減のため、かさ増しできるから。普通に考えても、良いお肉や魚を一番多く配合してしまうと、値段が高くなるのはわかりますよね。
メーカーとしてはなるべく安く作って安く売りたいですもん。お肉や魚をたくさん使用しないで、とりあえずAAFCOが取り決める栄養価がクリアできていれば販売はできます。AAFCOでは、使う食材にまで特定した言い方はしていませんし…。
質があまりよくないものを食べ続けていても、愛犬の健康は守れません。だから、主原料がなにか、一体なにが主原料なのかというのは、フードのクオリティーにも関わる重要な見極めポイントなんですね。
主原料が肉・魚であったとしても注意したいこととは?
言い出せばきりがありませんが、主原料が肉・魚であればいいというわけでもありません。
可能であればで構いませんので、
を選ぶようにしましょう。
というのも、質が悪いお肉や魚を食べることでアレルギーが出てしまったり、上手に消化できなかたり…と愛犬の不調につながってしまう可能性があるからです。
肥育ホルモン剤とは無理やり早く成長させるためのお薬のこと。
肥育ホルモン剤の使用は、日本では禁止されています(輸入はできますが)。肥育ホルモン剤は今のところ、体への悪い影響はないとは言われていますが、発がん性などのリスクが一切クリアになっているわけでもないという現状です。

こういったものを嫌がる人はいますしね
実際は、研究が継続されていることもあり、EU諸国では使用はもちろん、肥育ホルモン剤を使用した家畜・水産物の輸入すら禁止になっています。国によって食材に対する感覚も規定も違うので当然といえば当然なのですが…。
しかしそんな中でも、フードメーカーのサイトを確認してみると、原材料へのこだわり(肥育ホルモン剤不使用、4Dミート不使用など)や、仕入れ先の情報を公開してあるものもあります。それだけフードの安全性に配慮しているということでしょう。
原材料の安全性は愛犬の健康にも大きく関係するので、できれば鮮度・品質のいいものを選ぶようにしましょう。
ちなみに、4Dミートとは、
Dead | 事故で死んだ動物や食用に屠殺(とさつ)されたわけではない肉 |
Diseased | 病気がある動物の肉 |
Disabled | 障害を持っている動物の肉 |
Dying | 衰弱して瀕死状態の栄養価の低い動物の肉 |
のことを指し、ひと言でいうと安全性や栄養価が極めて低いお肉のことです。

え!健康なちゃんとしたお肉がいいな…
ちなみに、AAFCOでは4Dミートの使用は禁止などの記載はありませんが、FEDIAFでは4Dミートは禁止されています。日本はAAFCOを採用しているため4Dミートのフードもよしとされているということです。
それに、ミールはフレッシュなお肉・お魚ではなく、乾燥したものを粉状にした副産物のことを指します。主原料が〇〇ミールとなっているものは、犬の消化などにも関わってきますし、栄養価もフレッシュなお肉やお魚とは違うので注意しましょう。
気になる人は、フードを購入する前に、原材料の仕入れ先や原材料に対するこだわりを調べてからにするようにしてくださいね。
②化学合成添加物や着色料・香料の確認
セミモイストフードやウェットフードでも少し触れましたが、化学合成添加物が使用されていないものを選ぶようにしましょう。
とはいえ、化学合成添加物の配合にも、規定が曖昧な部分があったり、人によってどう感じるかは異なったりするため絶対とは言いません。
たとえば、
化学合成添加物Aは
- 1日〇グラムまでなら、健康に影響はない。(どう感じるか差異が出る部分)
- ただし多めに摂取をすると発がんリスクが上がります。(規定が曖昧な部分)
という表記があったとします。
こういう添加物の議論・規定って、研究中・協議進行中でどっちつかずのものも多いのが現状です。今までダメと言っていたものが問題ないとなることもありますし、これまでOKだったものが禁止になることもありますし…。
さて、ではここで、この表記を

〇グラムまで大丈夫なんだったらいい、問題ないよ!
という人もいるでしょうし、

なんグラムだろうとそんなもの与えたくない…
という人もいるのではないでしょうか?
日本でそういう規定になっているんだから大丈夫だよ、という人もいますし、それでも危険性がゼロではないのなら嫌だという人もいますよね。自分が食べるのは気にしないけど、愛犬のためとなると避けたいという意見もあり、正解はありませんが…
実際に、こういった「ドッグフードとして配合される分程度の量なら問題ない」と、化学合成添加物を多数使用しているドッグフードは多数ありますし、反面、一切使用していないドッグフードもあります。

でも…化学合成添加物もたくさん使えば怖いんじゃ…。。
ただ、ドッグフードの安全性や安心して与えられるかという話をする限り、これらは与えない方がいいと言わざるを得ません。人間にとっては少量OKだとしても、犬の体格を考えると、やはり影響を及ぼす危険もあるからです。
実際に化学合成添加物が原因でアレルギーを起こすこともありますし、摂取し続けることで発がんリスクが上がる化学合成添加物もあります。
化学合成添加物って言葉のとおり、自然界には存在しないものを人の手で合成して新しく生み出した物質のことで、なにが起こるか未知数なもの。無害なものもありますが、研究中のもの・議論中のものもあるので、やはり心配です…。

化学合成添加物を使用しなくてもドッグフードは作れます
それに、セミモイストフードのところで少し触れたように、天然由来の添加物(自然にあるものから抽出した成分)は体に優しい面もありますが、絶対に問題ないというわけではありません。日本で許可されているものが、海外では禁止されているなんてこともたくさんありますし。
ただ、「化学合成添加物」といわれても、いったいどんなものがあるのか、どういったもののことを言うのか、見分けがつかないこともあるでしょうから、ここで少しまとめてみますね!
避けたい・注意したい添加物とは?
添加物とひと言でいっても役割が違うので、それぞれわけて一覧にしてご紹介します。
中には問題ないと言われているもの、天然由来の添加物もありますが、これらをわざわざ使用しなくても、自然界のもので代用できるのに…というものも表示してました。
酸化防止剤・防腐剤・保存料 | 菌が繁殖したり、風味が飛んだりするのも防ぐ |
|
保湿剤 | 水分を飛ばないようにする |
|
着色料・発色剤 | フードに色をつける |
|
香料、甘味料、その他 | フードに香りをつける |
|
凝固剤、ゲル化剤 | フードを固める |
|

こんなにもあるんですね!気をつけなきゃ!
特に、着色料は犬には一切必要ありません。ただ人間が「見た目が美味しそうに見えるから」と配合しているものが多いので、正直、犬にとっては有難迷惑みたいなものですね…。
また、香料も食いつきをよくするために使用されることがありますが、なに由来かわからないものもあり、そもそも原材料がしっかりしたものであれば、原則必要ありません。香料を使用している時点で、原材料を疑ってみるのもドッグフード選びのポイントです。
酸化防止剤なども、最近は安全なハーブ由来のトコフェロールを使用するケースも多なっています。しかしコストがかかるため、添加物を使用しているケースが大半です。

可愛い愛犬のためにも避けましょう!
たくさんありすぎて、少量なら仕方ないと思う人もいるでしょうが、こういったものを一切使用していないフードもたくさんあります。
ドッグフードを選ぶ時には、怪しげな添加物がないか原材料をチェックしてみてくださいね。
③原材料に抗原物質(アレルギーの要因)がないか
犬が上手に消化できない、苦手な食材もあります。
犬が持ち合わせていない消化酵素があり、人間なら平気で食べられても犬には無理…というものがあるんですよね。また、人間と同様に、犬にもアレルギーを引き起こしやすい食材(=抗原物質が多い食材)があります。
なにが抗原物質になるかは個体差もありますので、一概にこれはダメと断言できないこともありますが、アレルギーを起こす可能性が高いとされている食材は、できれば避けてあげる方がよいでしょう。
もし、既に食べているフードで、あるいは、フードを替えたあたりから、
などの症状が出ていれば、すでにアレルギーが出ている可能性があるので、獣医師に相談する、アレルギー検査をしてみる、フードを替えるなどの対応をするようにしてください。
フードを替える場合には、今まで食べていた主原料とは違うものに替えてみるようにしましょう。あるいは、前に食べていたフードの原材料と今のフードの原材料を確認して、アレルギーゲンとなるものがないかチェックしてみてくださいね!
犬がアレルギーを起こしやすい食材とは?
犬がアレルギー起こしやすいとされている原材料を、まとめてご紹介します。
再三になりますがアレルギーには個体差があるため、「うちの子は平気」という場合もあるでしょう。ただし、人間の花粉症と同じで、今までは大丈夫だったのに、ある日を境に急にアレルギーに…ということもゼロではありません。
ですので、抗原物質が多い食材はできれば避けた方が良いということですね。
以下のような食材が使用されているドッグフードは、極力選ばないようにした方がよいでしょう。
穀物 |
|
肉、魚 |
|
乳製品 |
|
卵 | 特に生卵の白身は与えてはいけません!加熱していれば問題ないなんてことも言われますが、ダメな子はどんな形状だろうがダメなので注意! |
フルーツ・野菜 |
|
もちろん、ここに記載したもの以外でも、特定のものにアレルギー反応が出る子もいます。
たとえば、魚でアレルギーが出る、赤身の魚だけダメ、ジャガイモはダメだけど、サツマイモはOKなど、本当に多種多様で…。こればっかりは人間と同じく個体差があって難しいものですね。

心配なら一度検査をしてみるのが良いですね
いつものように食べて、元気が当たり前というわけではないので、フードを切り替えたタイミングは特に、目の健康のチェック、皮膚の健康のチェック、便の状態のチェックなど、変化が起きていないか気に掛けるようにしてくださいね。
アレルギーの原因になる要素が少ない低アレルゲン食材とは?
低アレルゲンといわれる、アレルギーが出る可能性が低い食材もあります。とはいえ、抗原物質の多い食材と同様に、絶対にみんな大丈夫というわけでもありません。アレルギーは特に犬種によっても出やすい犬種・丈夫な犬種もいますので…。
低アレルゲンな主原料として、よく使用されるのは、
などがあります。
他にも、白身魚(カレイ、タラなど)、鴨(ダック)、カンガルー、バイソン、ウサギなどもあり、お肉・お魚にアレルギーがある子は、上記のような主原料のドッグフードを選ぶとよいでしょう。

どこの国のフードかによっても使用する原料って違うんです!
ちなみに、アレルギーが起きないドッグフードを選ぶポイントは、
などもキーワードになりますので、参考にしてくださいね。
④総カロリー・成分表のチェック
ドッグフードを選ぶ時は必ず、
の3点は確認してください。
原材料については先ほどご紹介しましたので省略しますが、カロリーや成分(たんぱく質◯%、脂質◯%など)は、愛犬の健康にも関わる重要なポイントです。

実はあんまり気にしてなかった…
という人もいると思います。私も最初はまったくわからず、ただ良いと言われるものを選んでました。だって、「販売されている以上、変なものはないだろう」って安心してしまいますし、とりあえず不調が出てないなら気にもならないでしょうし。
しかし、実際は愛犬の体型や普段の生活の仕方、不調(病気)などにも、カロリーや成分は大事な数値ですので、適当に考えないで、しっかり見る目をつけておきたい情報でもあったんです!
これらを正しく理解して、愛犬に合うドッグフード・見合う量を与えられるように、カロリーや成分についてもご紹介します。
カロリーは「給餌量」や「体型」にかかわる数値
フードを切り替える時は、必ずカロリーを確認して、「前のフードでは、◯kcalで何グラム与えていた、今回は◯kcalだから何グラムだな」と考えるようにしてください。
たまにカロリーを気にせず、計量もしないで「このコップ一杯分くらいでいいや」なんて、感覚だけで与えている人もいますが、このやり方はおすすめできません。これ、カロリーを把握していない飼い主さん、やりがちです。
特にフードを替える時は、「このくらいでいいだろう」という与え方は禁物!ドッグフードによってカロリーはまったく異なりますので、その適当な量が愛犬の健康に大きくかかわってくるのですから。

いつも通り与えてるのに痩せてきた…

いつもより減らしてるのに太ってきた…
なんて言っても、給餌量やカロリーが把握できていないのですから、愛犬に不健康に栄養素不十分になっているだけなのかもしれません。あるいは、そもそも与え過ぎているなんてことも…。
また、カロリーが大きく異なるフードに替えた場合(特に前回よりカロリーが高いものに替える場合)、

前に食べてたのより、かなり量が少なくて可哀想…

カロリー高いから量減らしたけど…お腹空いてないかな…
なんて心配する羽目になります。
そんな心配をするくらいなら、先にカロリーを見比べておいた方が安心ですよね。あるいは、どうしても替えたいフードのカロリーが高くて、否応なしに給餌量が減る場合などには、ドッグフードそのものは規定量よりも少し減らして、セミモイストフードやウェットフードなどでかさ増ししてあげたら良いのですし♪
ドッグフードは原則、パッケージに記載されている給餌の目安量を参考にして、その表記されている給餌量から、愛犬の
などを加味して、プラスマイナスしてあげるようにしてください。
ちなみにカロリー計量や、愛犬に合う給餌量を算出する計算式もありますので、今後ご紹介していきたいと思います!
計算がめんどくさい人は、インターネットで「ドッグフード、給餌量、自動計量」などと検索すると、計算してくれるサイトなどもありますので、上手に使ってくださいね♪
成分(成分表)とは?どういう目安?
ドッグフードのパッケージや、公式サイトに、「保証成分は〜」という表記があります。きっとみなさんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
単位は「%以上」「%以下」の両方がありますが、最低でも〇%以上は入っている・最高でも〇%以下という意味です。
ちなみに、この表記もペットフード安全法で決まっていることで、ペットフードの表示に関する公正競争規約施行規則にも以下のような記載があります。
成分の表示は重量百分比とし、次のとおり記載するものとする。
たんぱく質・・・ %以上
脂質・・・・・・ %以上
粗繊維・・・・・ %以下
灰分・・・・・・ %以下
水分・・・・・・ %以下上記成分の分析方法は、農林水産省消費・安全局長の定める飼料分析基準、農林水産消費安全技術センターの定める愛玩動物用飼料等の検査方法、又はこれに準ずる
国際的検査基準による。ただし、脂質については、酸分解処理が必要なペットフードではこれらの基準の酸分解抽出法による。
たんぱく質は犬に欠かせない栄養素ですが、低すぎもダメ、多すぎもあまりよくないですし、脂質は取り過ぎるというまでもなく肥満の原因になりかねません。
しかし、脂質はある程度ないと、皮膚が乾燥して皮膚炎の原因になる可能性もあります。

どの成分も犬の健康には欠かせないものなんだね!
繊維は多すぎると、お腹がゆるくなってしまいますし、灰分はミネラル分のことで、水分は先ほどご紹介したドライフード・セミモイス・ウェットフード、どれに該当するのかにも関係してくる内容ですね。
実はこの成分に関しても、AAFCOで必要栄養素として公表されている内容で、これをベースにしたフードであることが日本でも求められています。(若干、日本の規定とは違う部分もありますが、以下はAAFCOが発表している栄養素基準です。)
パピー | 成犬 | |
粗たんぱく質 | 22.5%以上 | 18.0%以上 |
粗脂質 | 8.5%以上 | 5.5%以上 |
粗繊維 | MAX4%以下 | |
粗灰分①カルシウム | 1.2以下 | 0.5以下 |
粗灰分②リン | 1.0以下 | 0.4以下 |
粗灰分③カリウム | 0.6以下 | 0.6以下 |
水分 | ドライフードならMAX10%以下 |
ちなみに、AAFCOには「シニア犬」というくくりはありません。
灰分に関しては、他にもまだまだ記載はありますが、長すぎるので一部だけ表に乗せてあります。AAFCOのリストではそれぞれのミネラル分の量が表示されているので、日本の表記とは幾分比べにくい点もありますね。
各成分の詳細については別途ご紹介しますので、気になる方はチェックしてみてくださいね♪
⑤オイルコーティング
ドライフードの高温調理製法の場合、香りが飛んでしまったり、乾燥して形状を維持できなくなったりすることがあるため、オイルコーティングを施す場合があります。
ドライフード調理後に乾燥させた後に、オイルを吹きかける作業です。
オイルを加工途中で追加するやり方もありますが、一気に加工した後にオイルをかける方が簡単で手っ取り早いのでしょう。オイルを途中で混ぜ込むと、エクストルーダー(フードを作る機械)もベタベタになってしまいますしね。そんなマシンでは、衛生面も心配ですし。
一部では〇〇オイルと記載があるものも、オイルコーティングしてあるという認識で紹介されていますが、製造過程で配合するのと乾燥後にオイルを吹きかけるのとでは雲泥の差があるので、今回は最後にオイルを吹きかける場合に絞ります。

触ったらベタっとしたり、独特なフード臭がするやつだね!
オイルコーティングそのものが悪いとまでは言いません。しかし、オイルコーティングをしてあるフードの場合、オイルが空気に触れることで酸化してしまい、
- フードの質が劣化してしまう
- カビてしまうことがある
など、
鮮度の良いフードではなくなってしまうことがあるので、管理が非常に厄介になってしまいます。
酸化したフードを食べることで体調を崩してしまう子もいますし、できれば避けた方が良いということですね。

オイルコーティングって聞いたことがあるけど…

ベタッとして独特な香りがして…ということはわかるけど…
と、実際、開封するまでそのフードがオイルコーティングされているものかどうかってわからないという人もいるのではないでしょうか?
実は、オイルコーティングしてあるか否かを見極めるポイントがあります。
それは、原材料に
という言葉があればオイルコーティングしてあるフード、なければオイルコーティングしていないという見極め方です。(※植物性の場合特に、トランス脂肪酸が多いので注意!)
こんな感じに必ず記載されてあります。
本来、原材料(特に主原料)がしっかりしたものであれば、オイルコーティングをする必要はありません。また、オイルコーティングをしたことにより、酸化防止剤などの添加物を使用しないといけなくなり、もはやいいのか悪いのか…という感じになってしまいますよね…。
それであれば、ちゃんとした主原料で、不要なコーティングも添加物も使用していないものを選びたいものです。ちなみに、原材料の表記は、ペットフード構成取引協議会が制定したルールがあり、「すべての使用した材料を記載すること」とされています。
「原材料名」又は「原材料」の文字を記載した上で、原則として使用した原材料全
てを記載する。
そのため隠すことはできません。
オイルコーティングを何でしているのかさえわかっていれば見破れるというわけですね。
愛犬に酸化して傷んだドッグフードを与えたくない場合には、こういった成分が使用されていないものを与えるのは控える、あるいは、酸化する前に使い切れる小分けパックのものを選ぶなどの工夫をしてあげましょう。
ライフステージ・サイズに合わせたドッグフード
補足までにご紹介しておきますと、ドッグフードにはライフステージに合わせたものもあります。
など、世代によって必要な成分の配合を変えているような場合に、こういった表記がされているのですね。これらも「ペットフードの表示に関する公正競争規約施行規則」に記載されています。

世代によって必要な栄養素が変わってくるんだね!
世代 | 月齢 | 特徴 |
パピー・繫殖期 | 8か月~1歳まで | 発育のために栄養が一番多く必要な世代。カロリー・給餌量も多くなる |
成犬期 | 1歳~7歳まで | 体が出来上がって走り回れる世代。筋肉を維持できる必要があります |
シニア期・老犬期 | 7歳以降 | 関節ケアが必要になる世代でもあり、運動量が落ちてくる世代に差し掛かります |
※月齢に関してはサイズによって若干前後するので目安として考えてください。
もちろん、シニア期であろうとこれまでの生活スタイルからまだまだ現役!成犬と変わらないという子もいますが、少しずつシニア向けフードを意識し始めるましょう。

オールステージは全世代OKってことね!
また、フードには、犬のサイズによって粒の大きさや配合成分を変えているものもあります。
- 超小型犬用(2~3kgまで)
- 小型犬用(3kg~10kgまで) ※12kgまでというケースもあります
- 中型犬用(10kg~20kgまで) ※25kgまでというケースもあります
- 大型犬用(20kg~35kgまで) ※40kgまでというケースもあります
- 超大型犬(35kg以上) ※40kg以上
などもありますが、実際は何キロまでなら〇型犬という規定はありません。
ですのであくまで〇kgまでというのは目安ですが、体型別に起きやすい諸症状があったり、粒の食べやすいサイズがあったりするので、メーカーが作り分けているということです。
しかし、この目安の体重の枠に微妙にかぶる子もいますよね?

11kgの子だったらどっち用選べば?
と迷う人もいるでしょうし、中にはメーカーが小型犬用、大型犬用の2種類しか作っていなくて、

うちは中型犬だけど小さ目なんだけど…
と、どっちつかずで迷う人もます。
明らかに小型、明らかに大型という枠にハマるサイズの子だけじゃありませんもんね。こういった場合には、〇型犬用という言葉に囚われる必要はありません。
愛犬に合うフードの適切な粒のサイズは犬の好みや食べ方(噛まずに飲み込む、大きい方がバリバリ食べる、小さい方がゆっくり食べるなど)にもよりますし、噛む力や顎のサイズ、歯の健康などによっても違います。
また必要な栄養素も個体差はあるので、

小型犬はこういう症状が出やすいから、これ配合していますよ!
という売り文句に振り回され必要はありません。
みんながその症状が出て悩んでいるわけではありませんし。安全性と愛犬に合う栄養素を優先してください。
欲しい栄養素・補いたい栄養素がフードに入っていない場合はサプリメントを活用するのもあり!
これまでにもドライフードの説明で触れたように、与えたいフードの粒のサイズが合わないのであれば、ふやかす・フードクラッシャーで砕くなどをすればいいのです。
粒のサイズだけを重視したり、〇型犬用という言葉を重視することなく、愛犬に合うものを選ぶようにしましょう!
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