さまざまな理由から、ドッグフードを違うものに切り替えるタイミングってありますよね。
- 今食べているドライフードでアレルギーが出てしまった
- これまでのように食べてくれなくなった、食いつきが悪くなった
- 色んなものを食べさせたいからフードローテーションをしたい
- コスパの良いフードにしたい
など、愛犬の状態、獣医師さんからのアドバイス、家庭のお財布事情、飼い主さんの方針など、それぞれのフードを替える理由があるでしょう。しかし、切り替えがうまくいかなくて苦戦している飼い主さんもたくさんいます。
もしかしたらそれは、切り替え方がよくないからなのかもしれません…。
今回は、ドッグフードを新しいものに切り替える際の、
- これまでと違うフードに切り替える時の注意事項
- フードローテーションをするための知識
- フードの切り替えでありがちな困りごとの解消法
についてご紹介していきます!
せっかく買ったのに食べてくれない…と嘆く結果にならないよう、また、飼い主さんの与え方が原因で食べないなんてことにならないようにしたいものですよね。
愛犬の体に負担がかからず、飼い主さんとしても安心できる、フードの切り替え方法やフードローテーションの方法について、しっかり正しい知識をつけておきましょう♪
ドッグフードを違うものに切り替える時はどうすればいい?
ドッグフードをいつものと違うものに切り替えるときって、飼い主さんとしても心配なことが多いのではないでしょうか?
- 食べなかったらどうしよう…
- 不調が出ないかなぁ…
- 愛犬に合わなかったらどうしよう…
と慎重になってしいますよね。特に、アレルギーがある子や、もともと食が細い子、好き嫌いが多い子などを飼っている人なら、一層不安に感じているかもしれません。
あるいは、真逆に、

うちはなんでも食べるから大丈夫!!
と、あまり気にもしていない人もいるでしょうし…。しかし、なんでも食べるからと安心し過ぎるのも危険です!
その油断から、フード切り替えに失敗して悩んだり、愛犬に負担がかかったりしてしまっている人はたくさんます。フードは愛犬が健康に生きるために必要不可なものですから、トラブルなしで上手にシフトしたいものですよね。
そこでまずはじめに、基本の基に立ち返って、フードの切り替え方についてご紹介します。案外、

え…今までのやり方間違えてた…
なんてこともあるかもしれません。
犬を飼い慣れている人も、今一度確認してみてくださいね。
前のフードがなくなってから切り替えるのは避けよう!
前のドッグフードを使い終わってから、新しいフードに替えるのはおすすめしません。
中には、前のフードを食べ切ってから、いきなりガラッと新しいフードになっても食べる子もいます。好き嫌いがなくて大変良いことですね!
と言いたいところですが…
突然フードがこれまで食べていたものから替わることで、胃腸がビックリして内臓に負担がかかり、食べたはいいけど消化がうまくいかなくなって、数日後に、
なんて症状が突然、あるいは、徐々に変化が出てくることがあります。
慣れない食べ物ですから、胃腸が対応しきれなくなって、特に便・消化に変化が出ることが多いのです。フードにアレルギーが出ることもありますし…。
フードを切り替える時、食べるor食べないも心配なことでもありますが、食べた=大丈夫ということではありません。食べた後どうなるかも大事なんですよね。

うちの子はまぁ大丈夫でしょう!
という油断や、たかがドッグフードだしという思い込みが原因で、愛犬が体調を崩してしまいかねません。
ついつい買いそびれてしまってうっかり切らしてしまった、と、どうしようもなく急きょ新しい代用フードを与えなければならなくなった場合は、できるだけこれまでのフードに類似している成分のフードや、アレルギーが出にくい原材料を使用しているフードにするようにしてください。
ブレンド・配合比率を替えながらゆっくり移行しよう!
ドッグフードを切り替える時には、
少なくとも10日から2週間(できれば3週間)ほどかけるようにしましょう。
というのも、フードに徐々に慣れていけるように、前のフードと新しいフードをブレンドしながら、愛犬に不調が出ていないか様子を見て切り替えていってほしいからです。
前のフードがある程度残っている時点で、新しいフードを購入しておいて、
- 前のフードを9割:新しいフード1割程度にブレンドして、2~3日与えて様子見
- 前のフードを8割:新しいフード2割程度にブレンドして、2~3日与えて様子見
- 前のフードを7割:新しいフード3割程度にブレンドして、2~3日与えて様子見
と徐々に配合比率を替えて、最終的に完全に新しいフードに移行するというのが理想的です。
ブレンド配合の割合で問題なさそうであれば、移行が早くできる子もいます。とはいえ、早く順応できそうな子でもやはり10日はかけてあげるようにしましょう。
ただし、比率を替えたことによって、

あれ?食いつきが悪くなってるかも…

割合替えたら食べなくなった…
などの不具合が出てきたら、一度、前段階の比率に戻してまた様子見をしてください。
あくまで飼い主さんは、焦らずにゆっくりと時間をかかけて切り替えるようにしてあげましょう。一番大事なのは愛犬の負担にならないことです。
また、配合を替えてからアレルギー症状が出ているようであれば、せっかく買ったのにもったいない…という気持ちになるのはわかりますが、無理に与え続けないようにしましょう。
ドッグフードの「切り替えに失敗」しやすい事例
いきなり新しいフードに一気に切り替えるのはおすすめしませんとお伝えしましたが、ほかにも失敗しやすいケースがありす。
ドッグフードを切り替えようとしたはいいけど…切り替えたはいいけど…

食べなくなってしまった…

具合が悪くなってしまった…
など、悩む人も多いものです。
色んなフードの口コミを見ていると、「食べなくなった」「お腹を壊した」などの悪い口コミもあって、あたかもフードがよくないかのような意見をあげている人もいますが、

本当にフードのせいなのかしら?
という意味も見受けられます。
たしかに、食べない理由のひとつに、純粋に犬が新しいフードを好きではなかっただけということもありますが、飼い主さんの与え方に原因があったケースも多いにあること。
フードを切り替える際は、ブレンドしながら・時間をかけて・ゆっくり様子をみながらというスタンスが基本ですが、ここで少しよくありがちな失敗例をご紹介します。
失敗ケースにありがちなことを確認しながら、そうならないためにできる対策も考えてみましょう。
失敗しないために切り替える時は「少量パック」が便利!
「せっかく買ったのに食べなかった…」と、飼い主さん的にもガッカリなことがないように、お試しパックや少量パックがあれば、そういったものを購入してください。
あるいは、複数の容量の異なるものが出ているのであれば、容量が少なめなものを購入してもいいですしね♪
大容量販売のものの方がグラム単価的にはお買い得になっているので、

どうせ替えるなら大容量のものをお得に買いたい…
という人もいると思います。ドッグフードって案外家計を圧迫することもあるので、割安で買えた方が嬉しいですもの。
しかし、新しいフードに切り替える時は別問題!
食べなかったり、愛犬に不調が出たりして、与えられなくなってしまったら意味がありません。いくら割安でも、大容量パックを買って食べてくれなかった時のショックは大きいものです…。
でもそれは、食べてくれない愛犬のせいではなく、選び方ひとつで対処できること。
少し割高に感じても、愛犬の体調が優先です!少量パックで試すようにしてみましょう。
「先住犬(親犬)が大丈夫だった=この子も大丈夫」ではない!
過去に犬を飼っていたことがある・先住犬がいる人の場合、前の子も大丈夫だったからこの子も大丈夫だろうとういう油断が生まれがちです。
あるいは、親犬がこうだからこの子もこうだろうと思い込むケースもあります。
たしかに遺伝的に親犬がダメだったものが、引き継がれることもありますが、血筋に関係なく大丈夫だった・ダメだったということはよくある話です。
個体差があるので、しっかり見極めてあげましょう。
特に多頭飼いの人は、ひとつのフードを共有できるのは家計的にも理想ですが、こっちの子はこれはいいけど、こっちの子はこれはダメで…ということも出てきます。大変かもしれませんが、それぞれに合うフードを探してあげてください。
カロリー・給餌量・フードの形状・サイズも大事な比較要素!
ドッグフードを切り替えるということは、原材料はもちろんですが、カロリーやフードの粒のサイズ・形状も違ってきます。
アレルギーが出るものが入っていないかを見るのは大事なことです。しかし、フードの形状やサイズが嫌で食べない子もいますし、中にはあまりに形状が違うものが出てくると怖がってしまう子もいます。
愛犬の性格や好みによっても差が出てくるのは当然です。

いい匂いはするけど、見たことないし警戒しちゃう…
実は、犬は人間よりも味はあまりわかっていないと言われています。
味を感じる味蕾(みらい)が少ないからです。もちろん犬にも味覚はありますが、味云々よりも、見た目や香りで判断している部分も多いため、フードの形状やサイズ・香りはバカにできません。
また、フードのカロリーも重要で、前のフードと新しいフードのカロリーの違いも確認しなければなりません。
なんてこともよくある話!
これまで与えていたフードが新しく切り替えるフードよりカロリーが高い場合は、量を減らすことになりますし、カロリーが低いフードに切り替えるのであれば、給餌量は増えることになります。
食が細い子なのであれば、低カロリーのフードにしたら量を増やさないといけない手前、残してしまうこともあるでしょう。
原材料にばかり着目して、こういったことを考慮しないで買ってしまって大失敗…なんてこともあるので、カロリーや粒の形状・サイズも事前にチェックしておくといいですね。
愛犬の性格・状態をしっかり見極めることが大事!
合うフード・合わないフードは本当に個体差があります。
フードを紹介しているサイトでよくある”〇ランク”などというランキングも、ランクが上だからって愛犬に合うとは限りません。愛犬に合わないのであれば、意味がないのですもんね。
避けたいものは避けて、必要なことは考えて、選ぶようにしましょう。
それに、犬によっても性格も好みも異なりますから、
など、さまざまな原因から食べない・不調が出るといったことがあります。
フード(総合栄養食)は愛犬の体を作り、健康でいるために必要不可欠なものですから、慎重になってあげましょう。
特に注意したいのが、これまでのフードとまったく違う主原料・まったく違うタイプのものを与える時です。たとえば、
など、色んな切り替えるパターンがあります。
ガラッと内容が異なるものに替える場合には、時間はかかりますが気長に焦らずに切り替えていくことを心掛けましょう。何度も失敗すると心が折れそうになるかもしれませんが、愛犬の体調優先です。
切り替えている最中・切り替えてしばらくの間は、愛犬が痒そうにしていないか、涙が出ていないか、便の状態が悪くなっていないか、被毛の質が悪くなっていないかなど、しっかり見てあげるようにしてくださいね。
フード切り替え失敗?!「食べてくれない」場合はどうしたらいい?
新しいフードに警戒しがちな子、最初は少し食べたけど食べてくれなくなった子、切り替え方に失敗して食べなくなった子など、アレルギーが原因ではない場合であれば、食べてもらうためにできる工夫はまだありますし、できます!

せっかく買ったのに、食べないから…
とすぐ諦めてフードを替えてしまうのではなく、あの手この手で食べる作戦をしてみましょう。
切り替えがうまくいかないからといって、フードを替えすぎるのもよくありません。
明らかに替えたフードのせいで不調の場合は、ただちにそのフードを与えるのはやめたほうがいいのですが、なにも工夫をしないで、ただただ食べないから替えるというのをやっていたら、超グルメ犬にさせてしまうこともあるからです。
よくフードジプシー・フード難民になって大変な思いをしている飼い主さんもいますが、アレルギー体質で食べられるものが少ない場合は、本当に合うフードを見つけるまで大変だと思います。

安心して食べられるものが見つかるまで一緒に頑張ろうね!
たしかに食べないのは、生きること・健康に直結することですから、とにかく食べてほしい・食べてもらうことが優先なのはわかるのですが、
などを許し続けることはあまりおすすめできません。
超グルメな犬になったり、わがままをしていればもっと美味しいものを出してくれると思って、食べないのを繰り返したりということにつながってしまいます。
飼い主さんが愛犬のフードジプシー・好き嫌いを助長してしまうということです。
好き嫌いがあるのは仕方ない面もありますが、飼い主さんの与え方のせいで、悪化させてしまって、結果フード難民に…なんてなっていたら本末転倒になってしまいます。
食べないからすぐフードを切り替える、食べなくなったからすぐに新しいフードを探すのではなく、まず食べる工夫をしてあげましょう。
ここから、具体的に簡単にできる食べるための工夫をご紹介しますので、いろいろ試してみてくださいね♪
鰹節・トッピング・おやつを使って興味を持たせよう!
最近、食いつきが良いと評判になるドッグフードには、鰹節が使われているものがたくさんあります。だからといって、鰹節のフードに買い替えましょうという話ではありません。
今与えているフードに鰹節をトッピングしてあげてみてください。
鰹節は犬が食べてもOKな食材ですし、犬が大好きな香りを醸し出しているので、トッピングしてみると鰹節を食べた勢いでそのまま、フードまでパクパクを食べるようになる子も多いものです!
鰹節を使って、フードに興味を持たせることができますからね♪
などの理由から食べないケースもあるので、食欲をそそるいい香りが追加されるだけで食いつきが変わることもあるのですよ♪
鰹節以外にも、茹でたササミや茹でた野菜、果物、愛犬が大好きなおやつ(間食)を使っても構いません。
ただし、カロリーが高い野菜(サツマイモやカボチャ)やおやつをトッピングとして使用する場合には、カロリーがオーバーしてしまうこともあるため、トッピング分だけフードは適宜減らすようにしてください。
鰹節であれば食いつきアップが期待できるうえに、カロリーも大して高くないのでフード量の調整までは気にする必要がありません。それも鰹節のメリットですね!

美味しそうな香り!食べてみようかな!

好物なおやつがある!食べよっと♪
と、香りがある・好きなものがあるというだけでごはんに興味を持つようになる子もいますので、食べない場合には、おやつやふりかけなどのその他の目的食も上手に使ってみましょう!
ただし!これをやっても、上のトッピングの部分だけ食べて、残りは知らない~とプイっとしてしまうようであれば、上に乗せるだけではなくフードに混ぜ込んでみるのもありですよ♪
しかし…トッピングもダメ、混ぜ込んでもダメという場合は、次に紹介するやり方も試してみてください。
ドライタイプのドッグフードは「ふやかして」与えてみましょう!
ドッグフードをふやかすだけで、香りが立ちやすくなったり、食べやすくなったりするメリットがあります。これだけで、食べるようになる子もいるんですよ♪
やり方は水かぬるま湯で、ドッグフードをふやかすだけ!
(40度程度のぬるま湯で10分程度で完成します)
そもそも、ドッグフードを食べない理由には、
などの原因があることもあります。
シニア犬の場合は、硬いものが食べられなくなっていたり、超小型犬の場合も噛む力がなくて、食べられないだけだったりすることもあり、好き嫌いしているのではなくて、食べたいのに食べられないだけというケースもあるんですよね…。

食べられないだけなんだ…
フードの粒の大きさ・硬さはふやかせば関係なくなりますし、その上香りが立ちやすくなるので食欲をそそることもできて、食いつきをアップさせることもできます。
それに、消化がうまくできていなくて食べたくない…という対応をしてしまう子もいます。胃腸の調子が不安定だから、本能的に要らないとなってしまうのでしょうね。そんな子の場合でも、ふやかしてしまえば消化しやすくて体の負担も激減します♪
便秘などの排便の不調も、ふやかすだけでケロッと改善することもありますので、フードを切り替えて便の状態が悪くなったとしても、ふやかしてしばらく様子を見てみるのもありです。

食べないからもう諦めよう…
とまたフード探しをする前に、ふやかし作戦をやってみてもいいのではないでしょうか?
ちなみに補足ですが、ふやかすことでかさ増しもできるので、ダイエットが必要な子や、避妊・去勢手術後にカロリーを抑えたい子、給餌量を減らしている子にもおすすめですよ。
ただし…ふやかし作戦はおすすめなのですけど、注意して欲しい事もあるので、それについてもご説明しますね。
ドライフードをふやかして与える際の4つの注意事項
ドライフードをふやかして与えることに関しては、メリットもありますがデメリットもあります。ですので、デメリットも理解して、正しく与えるようにしましょう。
特に、以下に4点には気を付けてください。
柔らかく食べやすいフード歯につまりやすく、口腔内のトラブルにつながることもあるので注意が必要ですし、梅雨時期や湿気の多い日には、ふやかしたフードをしばらく置いておくと傷んでしまうこともあります。特に日本は高温多湿ですし…。
また、ふやかす際には、急いでいたとしても熱いお湯を使わないように注意してください。急いでいるのであれば、フードを砕いてからふやかすと時間短縮ができますよ♪
熱いお湯だとフードがふやけるのは早いのですが、フードボールから溶け出るプラスチックの成分が(プラスチック製の場合)フードに影響を及ぼしてしまったり、冷めるまで時間がかかって愛犬を待たせ続けることになったりしてしまう可能性がありるのです。

ふやかすタイミングを考えておきましょう♪
そのせいでアレルギーが出る子もいますし、フードが冷めるまでじらされていると、フードアグレッシブや早食いの原因になってしまうこともあるので、くれぐれも注意してくださいね。
また、噛む力があるのにドライフードを食べてくれないという理由から、ふやかして与える場合には、硬いおやつなども与えて、噛む習慣も維持させるようにしましょう。
※シニア犬なら無理する必要はありません。
咀嚼をすることで歯と歯茎の健康を維持できるというメリットもあります。柔らかいものを食べ続けることで、顎の力が弱ってしまうこともあるので、メリハリをつけた与え方をするようにしておくと良いですね。しっかり噛むことで食べることを楽しむことにもつながります。

噛むことで満腹感が出るメリットもあるんだ
それと、食が細い子にや、そもそもの体型が細身で体重を増やしたい子がふやかしたフードを与える場合、フードそのものが膨張していることもあり、たくさん食べないと、必要カロリーを摂取できなくなってしまいます。
そのため、ふやかしたフードは〇割・ドライフードは〇割といった具合に、ふやかす時のメリットだけを上手に取り入れるようにするのもあり♪
フード全部をふやかす必要もありませんので、状況に合わせてドライフードとふやかしたフードをブレンドしてみてくださいね。
「嗜好性の高いウェットフード」を混ぜ込む・トッピングする
嗜好性の高いウェットフードを混ぜ込んだり、トッピングしたりすることで食いつきを誘うのもひとつです。
トッピングと意味合いは似ていますが、ウェットフードを使用する場合は、与えるドライフードを必ず減らすようにしなければなりません。
ウェットフードは、あくまで総合栄養食のひとつであって、トッピングに該当するその他の目的食とはまったくの別ものです。
ウェットフードは、ドライフードと同量与えたとしてもカロリーが低いので、それほどたくさん減らす必要はありませんが、トータルのカロリーには気を付けておきましょう。

ウェットフードは開封後の賞味期限が短いので上手に使いましょう!
また、元気な成犬で、噛む力や顎にも問題がないにも関わらず、食べないからというだけで、ウェットフードしか与えなくなってしまうのもあまりよくありません。
さきほど「ふやかす」というところでもご紹介したように、柔らかいものばかりを食べることで、硬いものを食べようとしなくなったり、噛む力が落ちてしまったり、歯が弱くなってしまったりするこもとあります。
噛むことで満腹感を感じられて、食事量を抑えられるのもメリットです。
なお、水分を含むフードを食べると、水分を取らなくなる子もいますので、1日に必要な水分をしっかり取れているかも確認してあげるようにしておきましょう。
意図的にフードを切り替える「フードローテーション」とは?
「フードローテーション」ってご存知でしょうか?聞いたことはあっても詳しくはわからない、正しいやり方・知識はよくわからないという人もいるかもしれませんね。
そもそもフードローテーションとは、一定期間ごとに与えるドッグフードを切り替えることを言います。食べない、アレルギーが出るなどのいたし方ない理由からフードを切り替えるではなく、飼い主さんが意図的に替えていくことです。
切り替える期間に規定もありません(短いスパンで切り替えるのはあまりおすすめできません)し、2種類であろうが、3種類であろうが切り替えるフードの数にも規定はありません。とにかく1種類のフードを長期間与え続けるのではなく、定期的にフードを切り替えていくことですね。

それをする理由ってなに?
フードローテーションは、メリットもデメリットもあり、実際に、獣医師さんやペットフードメーカーによっても意見が分かれることもありますし、飼い主さんの考え方、愛犬の体質によっても良いのかどうかは違ってきます。
いいと聞いたからやるというわけではなく、メリットもデメリットもわかった上で、愛犬の健康状態にあわせて取り入れるかどうかを検討してみてくださいね!
フードローテーションをする6つのメリット
基本的には、フードローテーションをするのはメリットが多いとは言われています。
具体的なフードローテーションをするメリットは以下のとおりです。
犬も本来はさまざまな食べ物を食べてきたわけです。昨今は、
- 犬はもともと狼の仲間で肉食だ
- 現在の犬の食事の理念としてはは、雑食として見るべきだ
という異なる意見もありますが、いずれの見方をする人の場合でも、お肉だけではなくバランスよくさまざまな食材を食べることが望ましいとは言われています。
つまり、色んなフードを食べることで、犬本来の食生活に近い状況を作ることもでき、色んな原材料のものを食べることで栄養バランスもキープできるのですね!

色んなものを食べているから好き嫌いもなくなるしね♪
AAFCOの基準をクリアしているとはいえ、どのフードもたんぱく質量や脂質量、ビタミン、ミネラル、その他の栄養素など、細かい栄養バランスは異なります。
言い方を変えれば、同じものを食べ続けていると、不足しがちな栄養素が出てくる可能性もなきにしもあらずということです。
たとえば、以下の特色の異なるフードがあったとします。
フードA | フードB | フードC | フードD | |
不飽和脂肪酸 | 〇 | △ | ✕ | ◎ |
グルコサミン | ✕ | ◎ | 〇 | △ |
ミネラル・ビタミン | △ | ✕ | ◎ | 〇 |
オリゴ糖 | ◎ | 〇 | △ | ✕ |
Aは整腸作用、Bは関節ケア、Cはビタミン、Dは皮膚や被毛ケアに特化しているイメージですが、どれも愛犬には必要なものですよね?

Aは〇〇が配合されているけど、Bは配合されてないのか…

Cにはない△△が入っているけど○○はないのか…
など、それぞれのフードの特徴が違う中で、いつもAのフードを食べているけど、Bのフードのメリットも取り入れたい…ってこともあるのではないでしょうか?
そんな場合でもいくつかのフードを定期的に入れ替えて食べさせていれば、一定の栄養価を平均的に保つことができます。お肉系のフード・魚系のフードというだけでも取れる栄養素は全然違うため、ローテーションの意義があるんですよね。
この3ヶ月はA、次の3ヶ月はB、また次はC…という具合に、ローテーションをしていけば、すべての栄養素は適宜摂取できていることになります。ずっとCを食べていたら不飽和脂肪酸不足で、皮膚炎や被毛のごわつきに悩むことになっているかもしれません。

バランスよく色んなものを食べさせておくことも必要♪
また、最初にフードを切り替えたら胃腸がビックリしてしまうことがあるというお話をお伝えしましたが、普段から色んな食べ物を食べ慣れていることにより、胃腸(消化器官)が丈夫になっているので、フードを切り替えた時に、下痢や便秘を起こしにくくなるのもメリットです。
それに、うっかり買いそびれていつものフードが用意できない、災害などでいつも食べているフードが用意できない、いつものフードが買えない状態(欠品や近場に取り扱っている店舗がないなど)…なんて時も出てくることでしょう。
天災でフードが届かない・買えない状態になることはありえる話です。そんな時でも、なんでも食べられる犬にしておけば、リアルなフード難民にならずに済みます。災害時に愛犬が食べられるものがないなんて、飼い主さんにも愛犬にも一大事ですもんね…。

うちの子はこれしか食べないというのはいいことではありません…
そして、これは愛犬の体質によってメリットにもデメリットにもなりえることですが、さまざまな原材料の異なるフードを食べていることで、アレルギーの発症リスクを下げることもできます。
アレルギーは何度か口にしていることにより、免疫が異常反応をしてしまい引き起こされるのですが、そのメカニズムなどは以下、引用しますので参考にしてください。
食物アレルギーとはどのようなものですか?
食物アレルギーは、ペットの食事に含まれる1つ以上の成分に対するアレルギー反応です。最も一般的なアレルゲンは、牛肉、乳製品、穀類(小麦、穀物、大豆)、鶏肉、卵です。食物アレルギーのはっきりとした原因は判明していませんが、その発症メカニズムは、ペットの免疫系の異変により特定の成分を“異物”として認識し、この認識された“侵入者”を攻撃排除するために炎症が起こる、と考えられています。引用元:松波動物病院メディカルセンター
人間の花粉症などど同じく、最初は食べられていても、特定のものを食べ続けてしまったことで、許容レベルを超えてしまい、免疫機能が反応して突然アレルギー症状が出てしまうこともあるのです。
そのため、許容オーバーになる前に、フードローテーションで違うフードに切り替えていくことで、アレルギー発症率を抑えることができます。愛犬にアレルギーが出る可能性のあるものを与え続ける心配もありませんし♪
色んなドッグフードを食べられるというだけで、これだけのメリットがあるので、フードローテーションをしている飼い主さんもたくさんいるんですね!
フードローテーションをする、5つの「デメリット」
フードローテーションにはデメリットもあります。
特に、元からアレルギーが多い子や、食が細い子にとっては、このデメリットはかなり厳しいかもしれません。
具体的なフードローテーションをするデメリットは以下のとおりです。
なにが一番大変飼って、やはり、愛犬が食べても大丈夫なフードをいくつか見つけておくことです。
もともとアレルギー体質な子の場合、愛犬に合うフードを探すだけでひと苦労なのに、問題ないフードをいくつかピックアップしておくなんて、それ自体が手間になってしまうこともあります。
アレルギー体質な子であれば数種類でフードローテーションをするのではなく2、3種類だけで抑えておくようにした方がいいかもしれませんね。

ただでさえ食べないから食べられるものを探すだけで限界…
それに、フードをローテーションをする(フード切り替える)期間にもよりますが、もともと次のフードに替える前提ですので、あまりに大容量な割高になるお得パックのものを購入する選択肢はなくなってしまいます。
開封したら1ヶ月程度では食べきるのが理想ですので、一度開封したフードを次のローテーションのタイミングまでストックしておくことはできません。真空パックで保管しておいたとしても、古くなったフードを与えるのに抵抗がある人もいるでしょうし、ストックできたとしても、
など、愛犬には与えない方が良い、劣化したフードになってしまい、お腹を壊してしまう危険もあります。
ですので、基本的には一定期間で食べきれるフードを購入することになります。もちろんまとめて買えばお買い得なんて特権も使用できる機会はありません…。
失敗しないフードの切り替え方でもお伝えしたように、毎回少量パックからお試しして合うのを見つけて…なんてやっていたら、コストはかなりかかってしまうことでしょう。そう簡単には採用するフードが決まるわけでもないので時間もかかってしまいます。
また、メリットとは対照的な内容になってしまいますが、色んなものを食べることで胃腸が強くなる子もいる反面、胃腸がもともと弱い子の場合は、食べるものが替わること自体が負担になってしまうケースもゼロではありません。

いっぱい食べ物が替わると胃腸が疲れちゃう…
好き嫌いに関してもメリットに相反する内容ですが、なんでも食べるようになることもある反面、舌が肥えてしまって今度は「前のフードの方が好きだから、これは食べない!」なんてえり好みしてしまう子もいます。
グルメ犬なわがまま犬になってしまうんですね…。
- あっちの方が好きだった
- 今回のは嫌!
- これじゃないと食べない
- もっと他のを出して
と、自分の好みのものを選ぶようになってしまいます。
どう出るかは犬の性格や、飼い主さんとの関係性によるのでなんとも言えませんが…。

もっと美味しいの出してよ~!
そして、フードローテーションの結果、万一なにかアレルギーのような症状が出てしまった場合には、少々厄介になってしまうこともあります。
同じものを食べ続けているのであれば、その与え続けているフードの原材料の中にアレルギーを引き起こしている原因があるのだとわかりますが、ローテーションをしている場合は、たくさんの原材料を摂取しているわけです。
その中からアレルギーの原因を見つけ出すのは、簡単ではありません。期間も費用もそれだけ費やすことになってしまいます。

不調が続くのは心配だけど…費用も心配…
一般的にアレルゲンの特定をする方法には、除去食試験とアレルギー検査がありますが、詳細は以下に引用しますので、ご参照ください。
- 除去食試験
一定の期間、過去に食べたことがない成分の動物病院専用療法食とお水だけの生活をおくり、症状の改善があるか確認します。
症状の改善誤に今まで食べていたフードに替えて、症状が再発した時は診断が確定されます。
アレルギー検査
食物アレルギーを引き起こすリンパ球の反応にはIgEが関与するⅠ型と、リンパ球が直接反応するⅣ型の2つの反応があります。どちらも外部の血液検査になりますが、それぞれ検査方法が異なります。痒みを引き起こす皮膚病はたくさんありますので、他さまざまな検査を行い他の皮膚病を除外することで食物アレルギーを診断していきます。また、他の皮膚病を併発していないかも調べます。
除去食検査はこれまで食べていたドッグフードの内容や、食べてきた期間によって値段が変わってきます。もちろん食べていたものが多い、フードローテーションをしていた子の場合、食べてきた期間もバラバラ、原料もバラバラとなると試験に時間がかかるのは必至です。
ですので、採血をしてアレルギー検査をする方が安くすむとは思いますが、この価格は動物病院にもよってまちまちで…。少なからず2,3万円はかかってしまうと想定しておいたほうがよいでしょう。(ローテーションをしていなければ、除去食検査でもう少し安価で済みます)
いずれにしても腹をくくってアレルギー検査をしてしまえば、ローテーションをするフードも決めやすくなるのですが、わざわざコストのかかるローテーションをして、アレルギー検査までして…とやっていると、いくら愛犬の健康優先とはいえ、

いくらかかるんだろう…
と不安になってしまう飼い主さんがいても当然です。
それであれば、ひとつのフードで安全に食べれるものを与え続けておけば良いんじゃない?という意見出てきますよね。そう感じる人にとっては、フードローテーションにメリットを感じないかもしれません。
フードローテーションをやってみたい!でもどうやればいい?
フードローテーションは最初にお伝えしたように、切り替える期間にも、フードローテーションをするフードの種類にも規定はありません。何種類のフードを採用してもいいですし、ショートスパン過ぎなければ、2か月だろうが4か月だろうが半年ペースだろうが飼い主さんが決めてOK!
ショートスパン過ぎる場合(2か月以下の場合)は、フードに体や消化器が慣れる前・あるいはせっかく慣れだした頃にすぐにまた違うフードに切り替わることになるので、胃腸に負担がかかりやすくなってしまうのです。目安は2か月以上のスパンにしておくようにしましょう。
胃腸が弱い子であれば6か月、フードに飽きるのが早い子は短めに2,3ヶ月といった具合に、愛犬の様子を見ながらフードローテーションをしていってください。

次はなんだろう♪わくわく~!
また、フードローテーションのフードの選定の仕方は、アレルギーの有無にもよりますが、
- 主原料が違うものを選ぶ(チキン→サーモン→鹿など)
- 愛犬の状態に合うフードでローテーション(皮膚ケア→筋力→低カロリーなど)
- 時には形状が違うものも与えてみる(ドライ→ウエット→ブレンドなど)
- 同一メーカーのもので替えていく
などの選び方があります。同一メーカーのフードで、主原料だけを替えているフードもたくさんでていますので、同一メーカーのもので粒のサイズが同じものを与えるのもいいですね!
あたりであれば、同一メーカーから複数のタイプのフードがあるので、フードローテーションのフード選びもしやすくなると思いますよ♪

大幅に変わり過ぎるのも心配だし、これなら安心!
そして、フードローテーションをするうえで重要なのは、以下の2点!
- フードを切り替える際は時間をかけて(最初にご紹介した内容です)
- フードを替えた後の愛犬の健康状態はチェックしておくこと(便の状態やアレルギー症状の有無)
これだけは、毎回、必ず慎重に様子を見るようにあげるようにしましょう。
フードローテーションをするかどうかは飼い主さん次第
フードローテーションに関しては、少し触れたように、重要だという獣医師・ペットの専門家もいる反面、必要はないという獣医師もいます。
そのため明確な答えはないのも現状ですが、飼い主さんがどう感じるかも大事な判断材料になることです。フードローテーションのメリットを聞いて、たしかに~!と感じる人もいるでしょうし、そこまでしなくても…と感じる人もいることでしょう。
また、なによりも、飼い主さんが、

フードローテーションっていいな~!
とやってみたいと思ったとしても、愛犬の体質や性格もあります。

そんなに替えられたらしんどいよぉ…
いいと言われるとやりたくなっちゃう…ということもあるでしょうが、なによりも、愛犬の体調が一番です。その子の性格や体質に合わせて決めるようにしてくださいね!
コメント